小名浜漁港に行ってみた

 そういうわけで(どういうわけかというと前記事「国褒め」の続き)、これから何回かに分けて、僕が見てきた福島再生の取り組みを報告する。

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 上の写真は小名浜漁港。「いわきら・ら・みゅう」など観光スポットの反対側にある。ここで水揚げされた魚介類は魚市場に運ばれ検査を受ける。僕がスタディツアーで魚市場を見学したのは昨年(2019年)冬のことだ。

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 水揚げした魚は漁場ごとに魚を分類し、ぶつ切りにする。(上左写真)

 全品種の放射線量を検査し、国の指定基準値以下(小名浜ではさらに厳しい基準値を設けている)のものを出荷している(上右写真)。下写真2枚は見学者用に検査の流れを説明したもの。

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 以下は広報担当者の説明による。

農作物の場合は戸籍がはっきりしてます。しかし魚の場合はそうではありません。どこで生まれ、どこを回遊してきたかは不明です。

 スーパーなどでは、パックに○○産と表示してますね。あれは漁区のことではありません。水揚げされた港のことなんです。だから、同じ遠洋で獲れた魚も銚子港に揚がれば銚子産になり、小名浜に揚がれば小名浜産になります。さらに言えばたとえ福島沖で獲れた魚でも銚子港で揚がれば銚子産になります。同じ魚でも、小名浜で揚がった魚には値段がつかないということが起きるのです。では、魚を捕った漁船はどの港を選ぶでしょうか。当然、福島の港を避けることになるわけです。

 しかし、福島の漁港では全品検査をし、他県ではしてません。どちらが安全かといえば福島の港に揚がった魚ですが、消費者はそのことを知りません。また、我々もそれを公にすることは控えています。(注・この記事は私の判断で書いてます。「銚子港」はあくまでも例であって、銚子港を中傷するものではありません)他県の漁港への誹謗中傷になってしまうからです。

 また、原発があるのは福島県だけではありませんが、水産業は全体的に検査態勢が遅れています。魚介類は傷みやすいからです。

 今、消費者の心理は2:2:6の割合です。2割は福島のものを食べたい。2割は絶対に食べない。6割は安全が確保されれば食べても良いです。現時点では嫌がるスーパーも多く、店頭に並ぶことはあまりありません。私たちはこれからも安全性をアピールしていきます。そのために魚市場を建て替え、清潔に取引できるよう屋内型に改良したのです。

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 検査場にて広報担当者の説明を受ける。奥が魚市場で、ここでセリが行われている。今日は日曜日で休業。ごらんのとおり外気を遮断している。

(作者の感想 安全・安心というけれど、安心は心理的なものだから、いくら基準値以下の魚でも「危険だ」と言い続ければ永遠に「安心」は得られない。食べる・食べないは本人の自由だけど、現場に行って自分の目で見て関係者の話を聞けば多少は意識が変わるんじゃないかな。また、そうなることを願う。

 僕としては現場の人の涙ぐましい努力を無駄にしたくない。その意味でも汚染水の海水放出は絶対に反対! 「よそでは流してますけど」って、そんなもの理由にならないでしょ)。

 

 

  

 

 


 

 

 

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