ふくしまオーガニックコットンプロジェクト

 実を言えば僕は、オーガニックコットンプロジェクトの農場見学を第一の目的に、ふくしまファンクラブ主宰のスタディツアーに参加したのだった。

 オーガニックコットンプロジェクトは前々から知っていて関心はあったのだ。

 プロジェクトの内容は、主宰団体NPOザ・ピープルのHPで紹介している。抜粋すると、

 震災後、福島の農作物は放射性物質汚染の懸念から敬遠されてきた。農業生産高は激減し、生産農家は困窮して元気を失い、地域経済崩壊の危機に直面している。ふくしまオーガニックコットンプロジェクトはこの苦境を少しずつでも打開しようと2012年度に始まった。食用ではなく、塩害にも強く、放射性物質を吸収しにくい綿を有機栽培で育て、収穫し、オーガニックコットンを製品化することで、福島県の農業の再生と、地元に活気と仕事を産み出すことを目指す、市民参加型のプロジェクトだ。綿の栽培にはいわき市内の小中学校や農業高校も参加し、コットンによる物作りは仮設住宅や障害者施設をはじめ、地域のお母さん達の手仕事にもなって、人と人を繋いでいる。

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 農場はいわき市内の四倉地区になる。四倉の沿岸部は津波で相当な被害を受けたが、ここは同じ四倉でも山間部にあり、里山的な自然に囲まれたのどかな土地だ。福島第一原発からは50キロ圏内にある。もちろん周辺の農家は風評被害もふくめて打撃を受けた。でも、どんなところにも「あきらめない人」はいる。世の中を変えるのは「あきらめない人」たちだ。

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 農場の拠点は「天空の家」。山裾でバスを下りて20分ほど坂道を上ると見えてくる。「天空」から想像するほどの高地ではないけれど、高台にあってまわりを山で囲まれているから「天空」感を満喫できる。軒下のつるし柿と唐辛子がのどかだ。ソーラーパネルで発電し、宿泊用の部屋もある。トイレの糞尿は肥料に活用し、冬の暖房は薪ストーブ。自給自足を目指す人には理想郷かもしれない。

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 こちらが綿畑。ツアー参加者で収穫を手伝った。腰をかがめながら手作業で慎重に綿花を摘んでいく。コットンプロジェクトでは、ここから全国に種を送り、収穫した綿を送ってもらう取り組みもしているそうだ。新しい農業の形。綿が人や地域を繋ぐんだな。

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 こういう土地は、いい「気」がかよっている。理屈抜きで僕はそう思う。