2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「このからだ微塵に散らばれ」とチェルノブイリ

「このからだ微塵に散らばれ」を創作するにあたって、最初にふたつの決めごとを設けた。 ひとつは宮沢賢治の詩句をタイトルに据えて、「いかりのにがさ」「花火なんか見もしなかった」と併せて宮沢賢治三部作にすること。そこで、「春と修羅」の一行、(この…

「花火なんか見もしなかった」と火の祭

「花火なんか見もしなかった」に描いた雄高町の花火大会は、小高町の「火の祭」をモデルにしている。 火の祭は相馬野馬追祭の行事のひとつ。古くは、祭を終えて郷(相馬領内の行政区分)に帰った騎馬武者を、民衆が松明をかかげて出迎え、ねぎらったのが始ま…

「いかりのにがさ」はこうして生まれた

「いかりのにがさ」というタイトルは、宮沢賢治の詩「春と修羅」から取っている。 いかりのにがさまた青さ /四月の気層のひかりの底を/ 唾し はぎしりゆききする /おれはひとりの修羅なのだ キリスト教会と付属幼稚園 舞台は南相馬市雄高区(雄高町)にある…

「百年の孤舟」の舞台

「百年の孤舟」は、知る人ぞ知る大作家、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」のもじりであり、マルケス的なマジック・リアリズムを意識している。舞台は南相馬市雄高区。もちろん小高区がモデル。小高を父祖の地とする作家、埴谷雄高から取っている。埴谷雄…

『百年の孤舟』販売についての訂正とお詫び

すいません。先日お知らせした新刊『百年の孤舟』ですが、残念ながら現在、版元とアマゾンとの取引はないそうです。 ネット通販では、 「honto(ホント)」が可能です。18日から受け付けます。 https://honto.jp/netstore.html?cid=ip_hb_altab_ec または 荒…

10年目の双葉町を歩く

震災10年目の双葉町を訪ねた。コロナ禍で旅行を控えていたので、ほぼ1年ぶりの再訪。もちろん変化はあった。双葉町の「復興」がどこを目指しているのかも徐々に見えてきた。駅の西側には復興拠点の住宅用地を整備している。マンション型の復興住宅か、一軒…

記録映画「原発被災地になった故郷への旅」講演録

2013年、記録映画『原発被災地になった故郷への旅』(監督・杉田このみ)の制作に参加した。出演者は僕一人、制作スタッフは監督と撮影助手(監督の現在の夫)と僕の三人、一泊二日で小高町を撮影して回ったのだった。その後は各地で映画の上映とトークイベ…